家族信託(民事信託)について
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最近、信託制度を耳にする機会が増えてきたと思います。今迄は、遺言や贈与などにより財産を残す方法が主でしたが、もう一歩踏み込み、オーダーメイドで大事な財産を後継者に確実に引き渡す方法として注目されてきました。これは民事信託が解禁されたことと、高齢化に伴う認知症(ボケ)が増えてきたからと言えそうです。本制度を利用する前提条件は、本人がボケていないことです。ボケてからでは成年後見となってしまい、相続人のテーブルに裁判所選任の弁護士などが加わります。そうすると財産を売却することも簡単にはできなくなってしまいます。
そこで、頭がハッキリしているうちに家族信託でボケてからあるいは死んでからのことをきめ細かく次世代に引き継ぐことができます。余談ですが、本制度はアメリカではかなり一般的に利用されています。例えば、子供のいない委託者(Trustor)が、お気に入りの甥に財産を渡したい場合、その親である兄弟を受託者(Trustee)とし、甥を受益者(Beneficiary)とする家族信託(Family
Trust)を組んだりします。
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信託の当事者
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●委託者(Trustor) … 財産の所有者でその財産を託す人
●受託者(Trustee) … 財産を託され管理・処分をする人
●受益者(Beneficiary) … 信託からの利益を受ける権利のある人
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例1
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●目的:父がボケる前に息子に財産の管理処分権限を託し、判断能力が低下した時のリスクを回避
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例2
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●目的:病弱な妻に確実に財産からの収益が得られるよう親族または信頼できる知人に財産管理を委託
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その他の例
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●例3:知的障害を持つ子の生活安定のための信託
●例4:老後の生活資金・老人ホームの費用などを確保するための信託
●例5:孫の教育資金を支援するための信託
●例6:事業継承のための信託
など、ケースバイケースでいろいろな信託の形が組成できます。
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信託の税制
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例1の信託の場合、受託者(息子)に登記上の名義が変更されますが、形式的なもので贈与税はなく、委託者(父)の所有のままの扱いなので、売却の場合は委託者(父)の売却扱いです。但し、信託の場合、いろいろなケースがあるのでその都度、税務の専門家を相談しながら進めるべきでしょう
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サポートの役割
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本制度を利用する場合、以下の専門家がチームで関わります。それぞれの専門家をコーディネイトするのが不動産コンサルタントの役割です。
●不動産コンサルタント
…不動産全般のゼネラリストとして相談の窓口
●税理士
…税務申告など
●不動産鑑定士
…不動産評価など
●司法書士
…信託登記など
●弁護士
…信託契約作成、公正証書作成など
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